二泊目の民宿の予約がとれ、娘と孫とは別行動となった。
東尋坊でのスケッチは三段岩、夫婦岩を対象に写真や絵画にする場合が多い。
風が強く雨交じりの天候の中のスケッチ場所を探し当てて描くことにした。
風と小雨の中、しかもトイレが近くにあることが高齢の私にとって必要である。
その条件に叶う場所を見付けスケッチしたのである。
私としては満足のいく絵に仕上がったと思う。
バスに乗り民宿に向かった。三国港の傍にある釣り客目当ての民宿であった。
民宿には早く着いたのでチエックインだけを済ませてスケッチに向かった。
えちぜん鉄道のトンネルの“ねじりんま”が重要文化財とのことでスケッチした。
日が落ちて民宿に帰ることにした。
「お二階に部屋を取っております。夕食は階下の左の部屋でお願いします。」とのことで何とか寛げそうだと思った。奥まった通路を通り、二階には2部屋あり、トイレもない北側の6畳間が私の宿泊する場所である。トイレや手洗い場所や風呂は階下で温泉があった。
鍵はなく戸に付けられたねじ釘を差し込む簡単なものだ。
絵の道具の入ったザックカバンと着替えの入ったキャスター付きのスーツケースを持参した。
ところが階段は、直角に近い上から真っ直ぐの傾斜の大きい階段で、滑り止めは付いてはいるが、酒を飲んで裸電灯に照らされ、夜中に降りてくるわけで少々不安になった。
今更別の所に代わることもできず我慢することにした。
ところが、料理は港の近くということもあり、中居さんが魚料理で多くの新鮮な魚を運んできた。
満足した。一人大尽の気持ちでビールを注文した。
「お客さんは何処からなんの目的でここにきんさったの?」
「絵を描きに京都からここに来ました」
「ほうか。私の亡くなった主人も東京に勤め、休日には帰ってきて、東尋坊等油絵を描きに帰って来よりました。」
知らなかった人との会話の中で、何故か絵の話を通して親近感が湧いてきたように覚えた。
部屋はガンガンに暖房が入って暖かかったが、モーターの音がやや煩かった。
歯を磨き、急な階段を昇り就眠に床入ったがモーター音でなかなか寝付けなかった。
何とか寝るとトイレが近い年齢の自分であったので、夜中に起きていざ階下にトイレ行くのだが、手摺はあるものの急な階段と、階段に足を置くところが狭い。びくびくしてトイレへ急いだ。
ここで階段から落ちようものなら・・・
1泊食付きで9000円であった。
宿泊を終えて朝食とき女将さんが、全国旅行支援5000円と2000円のクーポン、福井県の旅行支援のクーポン2000円 60歳以上は1000円追加のクーポンをゲット。
そこで、何故一人の宿泊はお断りされたのかを聞かせてもらった。
「或る日、水に濡れた女の人が泊めて下さい。」と玄関にこられ、それから怖くなって一人客はご遠慮願っていると聞き、家内の推察は当たっていたことを確認した。
投稿:川﨑泰弘